事業目的決定の注意点
会社が行うビジネスの内容を「事業目的」といいます。会社は事業目的に記載された範囲内においてのみ、活動できるとされています。
この事業目的は定款に必ず記載しなければいけない事項ですし、また登記事項でもあり、会社の登記簿謄本にも記載されます。
定款を作成する上で、この事業目的の記載が一番やっかいで、注意が必要です。
事業目的の制限
事業目的の記載については、
- 「 明確性 」 …誰が見ても事業内容が明確であること
- 「 具体性 」 …事業内容が具体的でわかりやすいこと
- 「 営利性 」 …営利を追求する事業内容であること
- 「 適法性 」 …法律などに違反していないこと
が従来は要求されていて、事業目的の文言について登記官から厳格に審査さていました。
しかし、新会社法では類似商号規制の廃止に伴い、この審査が緩和されています。
特に「具体性」と「 明確性 」 の観点からの審査は行わない事になっています。しかし、「営利性」「適法性」については引き続き審査は行われ、その判断は登記官に委ねられますので、定款を作成する前に必ず法務局に確認をするか専門家に相談しましょう。
事業目的の決め方
まず、現実に行っている事業を事業目的にあげます。
次に、今後事業としてやりたい分野の事業目的をあげていきます。それぞれの目的の内容に関連性は必要ありませんし、全く別の業種でも問題ありません。
また事業目的の数に制限はありませんが、あまり多く関連のない項目を書きすぎると「この会社はいったい何をしている会社なんだろう?」と疑問をもたれてしまい、信用の低下につながります。
事業目的の数は、平均5項目前後で、多くても10個ぐらいまでにしましょう。
通常は、事業目的の最後の号に「前各号に付帯する一切の事業」と入れますので、あまり細かく書く必要はありません。
また、事業目的は一般に公開されますので、あまり業界特有の専門用語なども使わないほうがいいかと思われます。
許認可業種は要注意!
目的に記載した事業が、行政の許可や認可が必要なものである場合には十分な注意が必要です。
例えば、中古の自動車屋さんを営む場合には、「古物商の許可」が必要です。この場合は、事業目的に「古物商に関する事業」などの特定の文言が記載されていなくては許可が出ません。
そのため、事業目的にこのような業種の記載がないと、許認可を申請する際に、時間と費用をかけて事業目的の変更を行わなければならないこともありうるのです。(事業目的を変更するには3万円かかります)
設立後に許認可の申請を考えている場合に、事業目的にどのような記載が入っていることが必要とされるのかについては、事前に申請窓口となる官公庁に確認するか、専門家に相談しましょう。